
申請取次弁護士とは、外国人の在留資格に関する手続を外国人本人の代わりに行う弁護士のことを言います。
弁護士資格を有しているだけでは、申請取次の業務を行うことはできません。
弁護士は、所属する弁護士会を経由して、出入国在留管理庁(旧入国管理局)へ届け出ることによって、申請取次弁護士となることができます。
今後、日本では、少子高齢化に伴って多くの外国人を受け入れることが予想されるため、日本国民と外国人との共存の一助になるべき重要な役割を持っていると言えます。
申請等取次制度の趣旨
出入国管理及び難民認定法には、外国人が入国する前に行う「在留資格認定証明書交付申請」、外国人が入国した後に行う「在留期間更新許可申請」および「在留資格変更許可申請」等の在留資格諸申請、在留カードに係る申請および届出、在留カードの受領など外国人が行う申請等が規定されています。
これらの申請については、申請の種別ごとに、申請を行うべき者・申請を行うことができる者が入管法等によってそれぞれ規定されています。
また、申請書の提出を含む申請等に係る各行為を誰が行うことができるかについても規定されています。
現在、日本は、外国人の受け入れに関し、慎重に整備を進めている状況ですので、入管に関する法改正や規則変更などが頻繁に行われ、外国人受け入れに関する環境が変化しています。
このような環境変化についても知識を有しているのが申請取次弁護士ですので、専門家に申請を依頼することにより、スムーズな入国管理局審査や各種手続を行うことができます。
申請取次弁護士の役割
数ある申請取次弁護士の役割の中でも、申請者の知識不足による虚偽申請を未然に防ぐことが重要な役割の一つであると言われています。
外国人が日本に在留するうえで、出入国管理及び難民認定法など様々な制約が存在します。
例えば、「留学」の在留資格を持っていてもアルバイトをする場合には、「資格外活動許可」をあらかじめ取得する必要があります。
「留学」の在留資格では、原則として報酬を受け取る活動はできないことになっています。
このように、在留資格ひとつひとつに細かな規定が設けられ、これらの規定に反した場合には、強制退去になる可能性もあります。
また、たとえ就労ができる在留資格であっても、資格の就労内容とは異なる就労活動はできません。
在留資格の種類や、個々の事例により注意点が異なりますのでご注意ください。
これに関連して、外国人を雇用する日本人経営者が出入国管理及び難民認定法を熟知していないケースが時折見られます。
このような場合、雇用されている外国人が不法滞在(不法就労)になってしまうだけでなく、雇用している企業についても不法就労助長罪に該当する可能性があります。
外国人と日本人経営者側ともに、悪気はなくとも知識不足によって取り返しのつかない事態に陥ってしまうこともあるのです。
このような事態を防ぐべく、申請取次弁護士という専門家に申請を依頼することで、在留資格申請がスムーズになるだけでなく、在留中も出入国管理及び難民認定法を遵守し、安心して日本で在留することができます。
また、申請取次弁護士には、申請を行う外国人が「虚偽申請(偽装結婚等)」を行わないよう事前にチェックするという役割もあります。
もちろん、すべての「虚偽申請」を見抜けるわけではありませんが、膨大な申請を受け付けている出入国在留管理庁(旧入国管理局)に代わり、事前のチェックで虚偽を未然に防ぐことで国益を維持する役割も担っています。
まとめ
弁護士業界では、申請取次制度はこれからますます必要とされるようになると言われています。
申請取次弁護士のような専門家が常に最新の知識をインプットし、国内の日本人、外国人双方が共に安心して生活できるような基盤を作り出す役割を果たしています。
申請取次弁護士は、影の立役者として皆様に信頼していただけるよう精進して参ります。
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