外国人雇用に対する雇用主の責任はとても重いものです。

例えば、外国人労働者側が虚偽の経歴を提示し、偽造の証明書等を用意した等の場合、雇用主側に責任を問うべきではないと考えるかもしれません。
しかし、実際には、雇用主は、上記のような状況を見抜く能力と、そのようなことを防ぐための手順を踏む責任があります。

雇用主側の知識不足や手続不足で、雇用している外国人が不法就労等に問われてしまった場合には、当該外国人だけでなくその家族まで、影響を被ることになります。

外国人を雇用する際には、各法令や手続に関する十分な知識と、適切な手続の重要性を念頭に置く必要があります。

不法就労と不法就労助長罪

外国人が日本で就労する上で、最も注意すべき点が、不法就労と不法就労助長罪です。
日本の法令に違反した就労と、それを助長した場合に問われる罪です。

①不法就労
就労可能な在留資格を有していない場合や不法入国をして就労している場合等に問われるのが不法就労です。
悪質性が誰の目から見ても明らかな場合ばかりではなく、注意を怠ると、就労可能な活動範囲の制限を踏み越え、不法就労となってしまう可能性があります。

②不法就労助長罪
状況等により異なりますが、雇用主側が不法就労助長罪に問われた場合には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます。

これは、雇用主側が、集団密航者や不法就労だと知っていて雇用していた場合に限らず、雇用主側の知識不足や注意不足で不法就労助長罪に問われてしまう可能性があります。
具体的には、「在留資格の活動範囲外の業務を外国人従業員に与えてしまった」「在留期間の更新手続を忘れた」など、故意的ではないものの人為的なミスで不法就労や不法就労助長罪に問われてしまう可能性があります。

不法就労と不法就労助長罪はとても重く考えられており、当該外国人と雇用主双方に金銭的・社会的な制裁が下されてしまう場合がありますので注意が必要です。

在留資格取消制度

在留資格取得の許可不許可の判断は、法務大臣の広範な裁量に委ねられており、申請要項に沿った申請を行ったからといって必ず許可されるものではありません。

また、在留資格が適法に付与されても日本での活動が適切でない場合には、在留資格が取り消されてしまう場合もあります。

在留資格取消に当てはまる状況としては、以下のようなものが考えられます。
①「申請人自身の学歴や職歴などを偽って入国した場合」
②「事実と異なる文書等を提出したような場合」
③「所定の在留資格をもって在留する者が、その在留資格にかかる活動を正当な事由がないのに、3ヶ月以上行っていない場合」 など

つまり、違法な行為や虚偽の申請、在留資格に適合しない活動等があった場合に当てはまります。
当該外国人が上記のような制度があることを知らないことも多いので、雇用主は当該外国人に聴取することはもちろん、関係役所等に事実関係を問い合わせることも必要になります。

手間がかかりますが、上記のような手続を怠った場合には、雇用主側に責任が問われる可能性がありますので、この点は注意が必要です。

入国拒否期間

仮に、当該外国人が不法就労等に問われ、強制退去等になった場合には、一定期間日本に入国することができなくなります。

自ら入管に出頭する出国命令制度を利用することで、通常は入国拒否期間が5年間(場合によっては10年間)となるところを1年間に軽減される制度もあります(出国命令制度を利用できるかは、いくつかの要項があり、すべての不法在留者が利用できるわけではありません)。
しかし、入国拒否期間が1年間に短縮されても、再度在留資格を取得できるかどうかは分かりません。

出国命令制度を利用するということは、日本の法令を守っていなかったということでもあるため、1年間が経過しても在留資格が取得できない可能性があります。

優秀な外国人を雇用できたとしても、不要就労等に問われ、強制退去等になった場合には、雇用主側は5年間(場合によっては10年間)待つか、出国命令制度を利用して1年間待つかの選択を迫られる形になります。

前述のとおり、雇用主が待っていたとしても、その優秀な外国人が在留資格を取得できるかどうかは分からないのです。

そのため、雇用の時点で、不法就労等に問われないように十分な準備を行うことが必要です。

まとめ

外国人労働者、雇用主双方が、関連法令を認識し、不本意な不法就労等に問われないように注意深くあるべきです。

外国人従業員が日本で罪を犯してしまった場合、雇用主側にも責任が問われるでしょう。
外国人従業員を雇用する前に、また雇用後に適切な雇用管理を行うために、申請取次弁護士等の専門家にご相談いただくことで、これらのリスクを防ぐことができます。

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